「ひとつ、ふたつ」のルーツは?昔の日本人が使っていた独特の数字の数え方
「りんごをひとつ、お箸をいっぽん」と、私たちは当たり前のようにモノを数えています。でも、なぜ「一、二、三」という読み方以外に、「ひい、ふう、みい」という数え方があるのでしょうか?
私たちの日本語には、世界でも珍しいほど独特の数え方や単位がたくさんあります。この記事では、昔の数え方に隠された秘密を紐解きながら、その奥深い世界を旅してみましょう。
なぜ「ひい、ふう、みい」の数え方が生まれたのか?
「ひとつ、ふたつ」で始まる数え方は、漢字が伝わる以前から日本に存在した和語(大和言葉)の数詞です。
これは、昔の日本人が、身の回りのものを一つひとつ丁寧に数え、生活に密着した感覚で数を捉えていた証拠だと言われています。古事記などの古い文献にもこの数え方が登場することから、その歴史の古さがわかりますね。
日本の文化が詰まった「助数詞」と「単位」
日本語の数え方の面白さは、単に数字の読み方だけではありません。数えるモノの形や性質によって、助数詞(〜本、〜枚など)が変わるのも大きな特徴です。
〜本(ほん):鉛筆やバナナなど、細長いもの
〜枚(まい):紙や食器など、薄く平たいもの
〜羽(わ):鳥やウサギなど、空を飛んだり跳ねたりするもの
こうした独特の数え方は、モノを丁寧に観察し、分類しようとした昔の日本人の知恵が詰まっています。
さらに、昔の日本人の暮らしを知る上で欠かせないのが、尺貫法(しゃっかんほう)に代表される昔の単位です。
尺(しゃく):主に長さを表す単位で、1尺は約30.3センチメートル。着物や建物の設計に使われました。
貫(かん):重さを表す単位で、1貫は約3.75キログラム。お米や金銭を数えるのに使われました。
升(しょう):体積を表す単位で、1升は約1.8リットル。お酒や醤油の量を量るのに使われました。
これらの昔の単位は、現代の私たちの感覚とは少し違いますが、当時の人々の生活に深く根ざしていたことがわかります。
現代にも残る昔の数え方
「一、二、三」という漢語の数え方が日本に伝わってからは、和語と漢語が混在するようになりました。しかし、和算と呼ばれる日本の伝統的な数学や、相撲の番付、神事など、特定の場面では今でも和語の数詞が大切に使われています。
また、「ひふみよ」の数え方は、お祭りや歌にも残っており、私たちの文化の中にしっかりと息づいています。数字の読み方一つとっても、その背景には歴史や文化が深く関わっているのです。
まとめ:数字から見えてくる、日本の奥深い世界
日本語の数え方は、単なる数字の羅列ではありません。そこには、モノを愛でる心や、自然と調和して暮らしてきた人々の知恵、そして数百年にもわたる歴史の積み重ねが詰まっています。
次にモノを数えるとき、「ひとつ、ふたつ」と声に出してみてください。もしかしたら、昔の日本の暮らしが、少しだけ身近に感じられるかもしれません。