高額療養費制度の「落とし穴」とは?入院時に自己負担が10万円を超える5つのケース
「日本には高額療養費制度があるから、医療保険はいらない」
そんな言葉を耳にしたことはありませんか?確かに、この制度は私たちの家計を守る強力な盾です。一般的な年収世帯なら、月の医療費が100万円かかっても、窓口での支払いは約9万円前後で済みます。
しかし、実際の現場では**「窓口で15万円、20万円と請求されて驚いた」**というケースが後を絶ちません。なぜ、上限額があるはずなのに10万円を超えてしまうのでしょうか?
そこには、制度上の知られざる「落とし穴」が隠されています。今回は、医療費が想定外に膨らむ5つの具体的なケースを徹底解説します。
1. 「月またぎ」の入院:計算は1日から末日まで
もっとも多い落とし穴がこれです。高額療養費制度の計算単位は「月(1日から末日まで)」です。
同月内に入院・退院: 10日間の入院費が20万円(自己負担)なら、上限の約9万円で済みます。
月をまたいで入院: 4月25日から5月5日までの10日間入院し、それぞれの月の自己負担が8万円ずつだった場合、どちらの月も上限額(約9万円)に達しないため、合計16万円を丸々支払うことになります。
緊急入院は避けられませんが、もし手術日を選べるのであれば、月をまたがないスケジュールを組むのが賢明です。
2. 「差額ベッド代」という全額自己負担
「大部屋が空いていない」「静かな環境で療養したい」といった理由で個室や2〜4人部屋に入ると、**「差額ベッド代」**が発生します。
これは公的医療保険の対象外であり、高額療養費制度の計算には1円も含まれません。全国平均で1日約6,600円、都心部では1万円を超えることも珍しくありません。10日間入院して1日1万円の個室に入れば、医療費とは別に10万円が加算されることになります。
3. 入院中の「食事代」と「日用品費」
病院で提供される食事代も、実は制度の対象外です。
1食あたり490円(標準負担額)と決まっており、1日3食で1,470円。1ヶ月入院すれば、食事代だけで約4万4,000円。これに加えて、パジャマやタオルのレンタル代、テレビカード代などの「入院セット」費用も積み重なると、あっという間に数万円の出費になります。
4. 「先進医療」という数百万円のリスク
がんの重粒子線治療などに代表される「先進医療」は、公的保険が適用されません。
通常の診察や入院費には制度が使えますが、技術料(数百万円かかることもある)は全額自己負担となります。
具体例:
総医療費が400万円、うち先進医療の技術料が300万円だった場合。
通常の医療費(100万円)は制度で約9万円に抑えられますが、技術料の300万円はそのまま請求されるため、支払額は309万円にものぼります。
5. 「世帯合算」の21,000円ルール
家族で医療費を合算して上限を超えようとする際にも注意点があります。
70歳未満の場合、合算できるのは**「1つの医療機関で、1ヶ月に21,000円以上」**支払ったものだけです。「A病院で1.5万円、Bクリニックで1万円」といった少額の支払いを積み上げても、合算の対象にはなりません。
結論:医療保険で「埋めるべき穴」を見極める
高額療養費制度があるからといって、手出しがゼロになるわけではありません。
むしろ、**「月またぎ」「差額ベッド代」「先進医療」**といった要因が重なると、10万円、20万円という自己負担は容易に発生します。
後悔しないための対策:
貯蓄で備える: 常に50万円程度の「医療用予備費」を持っておく。
医療保険で備える: 「入院一時金」が出るタイプを選び、月またぎや差額ベッド代の補填にする。また、「先進医療特約」だけは必ず付けておく。
ご自身の貯蓄状況と照らし合わせ、「どこまでのリスクなら自分で背負えるか」を一度整理してみることをおすすめします。
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